山陰鉄道唱歌 第33番 出雲からはさらに西・石見国(石州)へ 浜田・津和野、そして断魚渓

山陰鉄道唱歌の歌詞を、わかりやすく解説してゆきます!
石見地方など地理・歴史を、初心者の方にもやさしく解説してゆきます!

↓まずは原文から!

なお石州せきしゅうむかいなば
濱田はまだ津和野つわのあらわるゝ
がみの川の断魚渓だんぎょけい
にもおよばぬ景色あり

さらに読みやすく!

なお石州せきしゅうに むかいなば
浜田はまだ津和野つわのぞ あらわるる
がみの川の 断魚渓だんぎょけい
にもおよばぬ 景色あり

さあ、歌ってみよう!

♪なおせきしゅうに むかいなばー
♪はーまだつわのぞ あらわるるー
♪やがみのかーわの だんきょけい
♪えーにもおよばぬ けしきありー
(山陰本線)
出雲市駅→大田市駅→温泉津駅→江津駅→波子駅→益田駅

(山口線)
益田駅→日原駅→津和野駅→徳佐駅→三谷駅→山口駅→湯田温泉駅→新山口駅

※鉄道唱歌に関連する主要駅と、特急列車が止まる駅などをピックアップして表記

出雲市よりさらに西は、石見国(石州)

出雲市いずもしまで来ると、今度はさらに西へ進み、

  • 大田市おおだし
  • 江津市ごうつし
  • 浜田市はまだし
  • 益田市ますだし

という風に続いて行きます。

島根県の海側には、「~田」がつく市名が多くなりますね。

大田市は「おお”だ”し」と濁点がつきます。
江津市は「ごうつし」と読みます。
慣れないうちは、やや読みにくいでしょう。

さらに西の、石見国(石州)へ

ここまで来ると西に進むと、石見国いわみのくに、つまり石州せきしゅうへと続いて行きます。
この地域を普通列車のみで移動するのはややきついので、特急「スーパーおき」を併せて利用すると便利です。

島根県西部のことを、石見国いわみのくにといいます。
島根県東部は、出雲国いずものくにです。
出雲国のことを、「雲州うんしゅう」ともいいます。

「東京から最も遠い街」江津市

島根県江津市ごうつしは、「東京から最も遠い街」という風に言われています。
それは地理的・物理的な距離ではなく、交通的・経済面での距離のことを言います。

「物理的な距離」「地理的な距離」のことではない

例えば、沖縄県であれば島根県江津市よりも、確かに遠いことは間違いありません。
ただし、それはあくまで「地理的・物理的な距離の話」です。
東京から沖縄までは、羽田から那覇までの空港の便がたくさん出ています。
そのため、交通面・経済面では、沖縄はそんなに遠くはないのです。

しかし、東京から江津市までの航空の便は、沖縄便ほどは多くなく、また「新幹線」と「特急」を駆使してきても、新山口駅からの乗り換えは必須となります。
このことから、なかなか一日で到達するのは難しいです。

私(筆者)がはじめて東京から江津市に到達したときには、(列車ではるばると)やはり3日かかりました。

日本海の景色(山陰本線の車窓より)

江戸時代にたくさんの銀を掘り出した、石見銀山

石見いわみ地方には、幕府の直轄地ちょっかつちだった石見銀山いわみぎんざんがあります。

江戸幕府の直轄領だった、石見銀山

石見銀山いわみぎんざんは、幕府の直轄領ちょっかつりょうとされてきました。

直轄領ちょっかつりょうとは、幕府が直接管理する場所のことを言います。

つまり直轄領は「藩」ではなく、幕府が直接支配する領地、ということです。

なぜ「直轄領」だったのか?

なぜ幕府が直接管理・運営するのかと言うと、理由の一つは単純に「儲かる」からです。
幕府に大量に利益が入るようにすれば、多くの武士を育成でき、諸藩からの離反りはん・反乱を防ぐことができます。
つまり、石見国いわみのくにの大名たちが謀反むほんを起こして、江戸幕府に対して攻めてきて、徳川家が滅亡するのを防ぐことができます。

佐渡・長崎・木曽などの場合も同じ

これは、佐渡島(新潟)・長崎木曽(長野)※なども同じです。
佐渡島は「(ゴールド)」で儲かり、長崎は「貿易」で儲かり、木曽も「木材」で儲かる地域でした。

これらの地域を「藩」に任せてしまい、その資金力を背景に、各藩が結託して幕府に攻めてきたら大変なことになります。

実際にそれに近いことが起こったのが、薩摩藩(鹿児島県)と長州藩(山口県)による、幕末の倒幕運動です。

木曽は厳密には尾張藩の直轄ですが、尾張藩は幕府と関係の深い「尾張徳川家」の支配下でした。

佐渡・長崎・木曽については、以下の各記事でも解説していますので、ご覧ください

鉄道唱歌 北陸編 第47番 新潟港を船出し、佐渡へ 佐渡金山やトキに知られる島
鉄道唱歌 北陸編の歌詞を、わかりやすく解説しています!鉄道の知識のみならず、歴史や旅行を楽しむためのノウハウを、鉄道に詳しくない人でも楽しめるよう解説してゆきます!
鉄道唱歌 山陽・九州編 第65番 長崎の歴史探訪 神社・寺町・居留地、キリスト教の篤い信仰のあと
鉄道唱歌 山陽・九州編の歌詞を、わかりやすく解説しています!鉄道の知識のみならず、歴史や旅行を楽しむためのノウハウを、鉄道に詳しくない人でも楽しめるよう解説してゆきます!
中央線鉄道唱歌 第57番 木曽五木の歴史 江戸や伊勢神宮にも使われた高貴な木材とは
中央線鉄道唱歌の歌詞を、わかりやすく解説しています!鉄道の知識のみならず、歴史や旅行を楽しむためのノウハウを、鉄道に詳しくない人でも楽しめるよう解説してゆきます!

「アユの遡上」で知られる断魚渓

断魚渓だんぎょけいとは、大田市の遥か南の険しい中国山地、

  • 邑南町おおなんちょう濁川にごりかわ

にある、アユの遡上そじょう防ぐような、険しい峡谷のことをいいます。

「アユの遡上」とは?

アユの遡上そじょうとは、あゆという魚が川を逆に登っていくことをいいます。

あゆは山の中で育ってから海へゆき、子供を育てるときは再び川を登って行く、というライフスタイルをとっています。

歌詞にある矢上やかみとは、現在の邑南町おおなんちょうにあった地名です。

浜田市をさらに西へ、益田市へ 山口線との分岐駅

浜田駅(島根県浜田市)
浜田駅(島根県浜田市)

浜田駅はまだえき(島根県浜田市)からさらに西の

  • 益田駅ますだえき(島根県益田市)

からは、南へ山口線やまぐちせんが伸びています。

益田駅から南へ延びる、山口線

山口線は、「山陰の小京都」と呼ばれる津和野つわのを通って、長門峡ちょうもんきょうなど、中国山地の険しい山々を南下してゆきます。

やがて山口県の県庁所在地・山口市の駅である山口駅や、

  • 湯田温泉駅ゆだおんせんえき(山口県山口市)

を経て、山陽新幹線の駅でもある新山口駅しんやまぐちえき(山口県山口市小郡)まで至ります。

「山陰の小京都」津和野町

島根県鹿足郡津和野町つわのちょうは、「山陰の小京都」と呼ばれます。

小京都こきょうととは、

  • 京都に似ている町
  • 京都と何らかの関係性を持った

などのような意味合いで使われます。

鹿足郡は、「かのあしぐん」と読みます。

ちなみに、

  • 津和野は小説家・森鴎外もりおうがいの出身地
  • 湯田温泉は、詩人・中原中也(なかはら ちゅうや)の出身地

でもあります。

次回はラスト・隠岐の島の話題へ

次はいよいよ山陰鉄道唱歌のラスト、隠岐の島おきのしまの話題となります!

ちゅうい!おわりに

この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

この記事が良いと思った方は、よかったら次の記事・前回の記事も見てくださいね!

コメント